私には行きつけの喫茶店があります。
訪れるときはほとんど独り。
そこは個人でやっている小さなマガジンカフェで、漫画や雑誌はもちろんですが、書籍なんかもけっこう置いてあります。
ちなみにネットカフェではありません。
初老の穏やかそうな店主さんの趣味なのか、なかなか面白そうな書籍があって、普通の漫画喫茶にはない楽しみがあります。
休日にちょっとしたヒマがあると、バイクや自転車で山道を軽く走ってからここに立ち寄って、のんびりお茶をするのがいいのです。
このお店の良いところは他にもあって、飲み物がフリードリンクなのでおかわりが自由にできるところと、独りのお客さんが殆どで、お喋りをしている人が滅多にいないところ。
周りがざわざわしていると、本も漫画も雑誌も新聞も集中して読めない私には、とてもありがたいお店なのです。
私が好きな窓際の席に座って、ちょっと古い洋楽のBGMを静かに聞きながら本を読んでいると、子供の頃の夏休み、プール帰りに学校の図書室で独り本を読んでいた自分の姿が思い出されます。
夕暮れになって家に戻ると、愛犬がキャンキャンとしっぽを振って走り寄り、嫁は私の顔を見るなり脈絡もない話をしだし、次男が二階からバタバタと駆け下りて「夜ご飯はまだか」と言い、テレビでは山田くんが座布団を運んでいました。
おやじのささやかな現実逃避は、いつもこうして終わるんです。


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