これ、絵柄はコメディータッチの漫画なのですが、内容はかなり笑えない話が満載です。
何しろ主人公のお母さんは長年にわたって 統合失調症 を患い、その娘である主人公は子供の頃から、その母とともに生活しながらの、様々な出来事や感じたことを漫画にしたものなのです。
鬱病とならんで、非常にポピュラーな精神疾患でもある統合失調症ですが、当事者やその家族以外でこの病気について正しく理解ができている人は多くはないのでは、と思います。
カウンセリングを学ぶ上で精神医学の勉強は欠かせませんが、殆どの場合は精神科医や心理臨床家などの、いわゆる治療者としての立場で精神病というものを捉えたものを、テキストとして学ぶことになります。
もう3年ほど前になりますが、とある自立支援施設で統合失調症の方と接するボランティアをしていたことがあります。
ただ普通に一緒にご飯を食べたり、話をしたり(してくれない人もいましたが)するだけのちょっと不思議なボランティアでした。
その時感じたことは、彼等(彼女等)は 統合失調症という病気を持った普通の人たちなんだ ということでした。
もちろんその行動や言動は普通の人とは違うこともあるのですが、病気そのものがその人の全てではないということです。
といっても、私は時折その施設に訪れて限られた時間を一緒に過ごすだけであり、彼らのことなどほとんど理解できてはいないでしょうが…
統合失調症の当事者やその家族が、現実にどのように病気とともに生きているのかということは、なかなか他人にはわからないことですし、ましてやその苦しみや苦悩といったものは、そんなに簡単には理解できないことなのだと思うのです。
この本(漫画です)は、軽いタッチで描かれてはありますが、そこそこの感受性があれば、ただ面白可笑しく心のビョーキをテーマにした漫画ではないことがわかってもらえるはずです。
心の病を治療する側からではなく、当事者(家族も含めた)の側からとらえることが、統合失調症という病気を正しく理解することに、少しは役に立つのではないかと思います。
よろしければ興味がある方は、一度ご覧になってみて下さい。

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